ロンドン、火のように

市場は落ち着きつつあるのだろうか。ブルース好きの彼女がそうつぶやいた時、彼女の友人「堺正隆」は三井住友銀行のロビーで優雅にあくびをしながら、順番を待っていた。確かに俺は赤ちゃんを車の中で放置してしまった。パチンコ依存症だってことも認めるし、警察に罵声を浴びせられることもしかたがないことだと思う。また突然妻が離婚しましょうと言い出したこともあまりにも青天の霹靂すぎると感じたがたしかに仕方ないことなのかもしれないとも思った。昔彼女を裏切って、といっても浮気ではなく、彼女と昔約束したことがあって、絶対他の女を触らないで、握手もしないで、といわれたにも関わらず、あの東京国際フォーラムの場で、初対面のアナスタシアという女性が握手をするために手を出してきたので反射的に握手をしてしまったのだった。しかも彼女はその時トイレに行っていてそこからちょうど出てきたところだった。彼女は私がトイレに行っている間に内緒で別の女に触れたんだ、なんという裏切り!許せない!という心に彼女はなったそうだ。触ったことは許せても私の見ていないところでそんなことを。私は激しく平謝りをした。約1ヶ月後に許してくれた。にも関わらずまた私は彼女に対してひどいことをしてしまったのだった。「俺はなんて人間だ・・ずるいやつだ・・」。そう頭を抱えた瞬間に、テレビからあるニュースが流れてきた。そのニュースはどうでもいい地方ニュースだった。しかしインタビューで昔の同級生が映った。「狭山千香」。ブルース好きの狭山はその時、生放送という形でインタビューを受けていた。「・・私はアベノミクスは成功したと思ってますよ。」、彼女がそう言うとその後ろを歩いていた女性が「日経!!」と叫んで走っていったのだ。何が日経なんだと思ったが完全に無視して私はインタビュアーに対して自分の夫のモラルハラスメントについて話してみた。「・・あ、えーと」と苦虫を潰したような顔でインタビュアーが引きつった。いつもこうだ。私が「いつも心に太陽を」の英語版をみんなの前で披露した時もあのような顔を彼らはしたし、リーマンショック以降私が常々お金にピリピリしていた時に近くに住む労務士に「金が世の中で一番なんだよ」と畳み掛けた時も反射的に彼を殴ろうとした時も、あの呆れ顔をされたのだった。しかし本当に呆れていたのは新聞の一面を飾っていたイカれるロンドン市民であった。ロンドン市民の顔はまるで、あの幼少の頃、私がブルースに目覚め、世界を震撼させるきっかけとなった第4次ブルース対戦の場に足を運んだ時に見せた父の顔とそっくりだった。